SSブログ

1933年11月18日 新聞記事 [箱木一郎 曲面印刷 ichiro hakogi]

1933年11月18日 名古屋
陶器に応用した曲面印刷法 名古屋の箱木氏の発明特許局の発明展で“特選”
 本社内にある中部発明互助会員、名古屋市東区芳野町二ノ六七箱木一郎氏発明の『曲面印刷方法』は目下特許局で開会中の特許局発明展覧会へ日本陶磁器輸出組合(名古屋)より出品して特選となり、しかも三大発明の一つを推奨された。
 同氏は東京高等工芸学校で多年研究の結果、この方法を発明し昭和三年七月二十七日特許登録となり本紙でも既に紹介したところであるが、この発明は従来の印刷が総て平面物体を対象としたものを立体物を対象にしたところに世界印刷史の一頁を飾るものがある。
 方法は凸版オフセット方法により金属製凸版にインクを付与し更にゴムの薄膜に印刷した対象物体に転刷するに当たり空気の圧力を利用して両面接着を行うものであるが、転写法とは全然別個のものである、この印刷機械は名古屋高等工業学校松良正一教授の設計並びに監督の下に製作、組立中であるが、同機は三十秒で六色刷となり、一時間に一台で一万個を印刷する能力をもつものであつてこれを需要の最も多い陶磁器印刷に応用し名古屋市の陶磁器業の有力者数氏の後援を得て名古屋市に工場を設け工業化すべく目下準備中である。
 同工場が完成すればさらに陶磁器の生産費を低下し陶磁器界に一新機軸をだすことにならう、なほ同立体印刷の理論は東京高等工芸学校伊藤亮次教授がドイツ学会雑誌に発表し世界学界に呼びかけることになつてゐる。



大阪毎日新聞 昭和八年十一月十八日陶磁器絵付けに画期的の大発明
遂に成った曲面印刷法 名古屋の箱木氏の誉れ
目下東京奨励館で開催中の特許局第一回発明展覧会に入選した十三の特選中三大発明として特許局から折紙をつけられたものの一つに名古屋東区芳野町箱木一郎氏の陶磁器曲面印刷法がある。
 曲面印刷法は従来家内工業的に転写紙によつてのみ可能とされてゐたものであるから、この発明は世界の曲面印刷界に大革命をもたらし陶磁器絵付の理想である機械化大量生産化を実現せしめ
わが国の大衆向陶磁器製造法に一大転換を招来するものとして非常なセンセーションを起してゐる、右につき箱木一郎氏は十七日名古屋陶磁器会館で語る
 発明の要点は凸版オフセットの応用でゴム幕に刷られたインキを被刷面に中間の空気を抜きとり転写するもので八年間の苦心をもつて六年前創案を完成、特許を得たもので今回ははからずも発明展に提出、三大発明と称せられるに至つたことは実に意外な喜びです
なほ同志の発明になる方法を実際機械化し製作を自らやつてゐる名古屋高工松良教授は
語る。
 ドイツ、フランス、オランダなど立派な製品を出す陶業国でもこの種の発明はまだない、大衆向陶磁器の製造界にとつては世界的の発明といつてよい、方法は簡単だが着想が面白いので機械を作つて見た、機械の製造費は約一万円だ、この機械によると一日中時間操作して一万枚を絵付することが出来る
さらに愛知発明協会では
 大変面白い発明です、問題は松良教授がいかなる能力の機械を作られるかこれを期待してゐる
といつてゐる、なほ箱木一郎氏は今年三十八歳、このほかにも三十余種の特許を持つ天成
の発明家で隠れたる後援者には日本陶磁器輸出組合伊藤理事などがあると(名古屋発)

nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。