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印刷機に於けるインクタンク [箱木一郎 曲面印刷 ichiro hakogi]

2015-08-18 火曜日 
祖父箱木一郎関連記事
インクタンクに関する特許に対して、特許権侵害が起きてからの対応が茶封筒に電波新聞と一緒に保管されている。
興味深いことに、この特許権侵害事件が1969年に起こり、催告文を電波新聞の4ページ下段左に掲載し、その後1980年10月31日の実用新案公報(Y2)昭55-46511(日本国特許庁JP)には「印刷機に於けるインキタンク」の実用新案が掲載されている。そこには、実はいくつもの特許を取っていたという事実を死後聞いた叔父箱木克士の名前が考案者として記載されている。
 更に、昭和58年(1983年)11月25日金曜日の電波新聞の4ページには「実用新案権侵害に関する御注意」(実用新案登録 第1385954号)が実用新案権者日本曲面印刷機株式会社代表取締役箱木徹哉の名で再び掲載されているのである。

以下 資料

SSCN2847.JPG1) 電波新聞への広告(昭和44(1969)年8月27日)

催告

 当社は実用新案登録第843550号 名称「印刷機に於けるインキ・タンク」の実用新案権を有して居りますが(その権利範囲は末尾の記載の通り)、東京板橋方面に於ける某社から今までにこの権利を侵害する物品を購入し、使用されている業者があります。
 これは、実用新案法の侵害罪として3年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられるものであり、且つ当社に対して民事上の損害賠償の責を負わなければならないものでありますから、御使用者はこの広告を御覧になると同時に、直ちに使用をお取り止め下さい。
 上記の通り催告致します。


    
実用新案登録第843550号の権利範囲



東京都世田谷区喜多見町〇〇〇〇番地
実用新案権者 日本曲面印刷機株式会社
代表取締役 箱木 一郎

 当社は この権利に係わる製品(電子部品カラーコード印刷機・円筒形パーツ印刷機等)を製造・販売して居ります。今後御使用の際は、当社宛ご照会を賜りますように併せて広告申上げます。


2)  その他手書き備忘録
 昭和44年(1969年)8月22日 
松田特許事務所訪問(克士氏同道)
① S氏(S製作所)当社特許(実用)侵害に対する特許法による手続き等の打ち合わせのため
② 明8月23日、M氏がS氏及びSに対して会見通知を内容証明で二通出す(8/27 14時~17時)
③ 当社としては電場新聞に広告を出す(内容別紙)
④ 細部は日誌メモにあり

SSCN2846.JPG8月23日(土)
以上の件を役員会を開き克士氏説明する。
 出席者 東洋男氏、徹哉氏、堀内氏、土屋氏

8月26日 M氏よりの連絡によると、S氏27日15時松田事務所にこられるとの連絡あった、とのこと。

8月27日 上記の件で、社内役員会を開きS氏に対する条件を松田先生に提示する打ち合わせ会議を開く。
堀内氏、銀行に行き不在なれ共内容の点本日   

昭和44年8月27日
当社が所有する実用新案権に対する侵害事件
1. 侵害者S製作所(S氏)に対して松田先生を代人として催告を行う(25日文書により通達別紙)(内容証明)
2. 8/27一般に催告文を電波新聞に掲載する
         (別紙 8/27新聞)  
3. 8/27 S製作所(S氏)と松田先生事務所にて会見する。事前にその要望事項に関して本日午前役員会議を開き決定す。
出席者 東洋男 克士 土屋
S氏に要望事項
1) 本日前に販売せる数量及び納入先のリストを提出願う
2) 現在製作中の納入先及び数量のリスト 〃
3) 今後は直接受注せず全部曲面に廻す」
4. 8/27 三時松田事務所にてS氏と会見す
  当社出席者 東洋男氏 克士氏 土屋 三人
1) S氏より詫證を提出す。
2) 契約覚書を取り交わす( 1)、2)、3)項の内容 )
5. 8/28 克士氏松田事務所に電話せるところ本日S氏に対し27日会見の折約束せる要望事項①②を文書にて回答を求める内容証明を出すとの」であったSSCN2845.JPG

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nishiyan

 箱木一郎氏の家族の方に、伺いたいことがあります。

 結論を申しますと、以下のpdfファイル、箱木一郎氏の『発明と私』の中にある言葉、「円方体」について伺いたいことがあります。

《復刻》・印刷史談会〈12〉
htt★ps://www.jfpi.or.jp/files/user/pdf/printpia/pdf_part3_01/part3_01_012.pdf
(URLに★印を加えています)
曲面体印刷の発明と グーテンベルグ博物館へ資料寄贈の想い
『発明と私』

 この『発明と私』の、「(2)同一陶器」の文章の19行目に「円方体、あるいは円錐体」という言葉があります。
 文学の本を読んでいたら、次のように比喩として「円方体」という耳慣れない言葉が出て来ました。


「わたしたちは短歌的な表現を交響する音形で比喩してみるとする。いま意味の機能をまったく抜いておくとすれば、細長い葉巻の形をした密雲の塊りのように見做すことができよう。すると岡井隆の『神の仕事場』の交響する密雲は、わたしたちが短歌的な声調にみているものの倍増した円方体(2×2×2)に比喩することができる作品に出遭う。いわば意味句が、下句または上句の全体でメロディを発信している例に出遭うからだ。」(『吉本隆明 詩歌の呼び声 岡井隆論集』P302 論創社 2021.7)


 はじめて耳にする名で高校までの図形では聞いたことがありません。ネット検索でもヒットしませんでした。初めそれは直方体などの誤植ではないかと思いましたが、気になってネットの質問コーナーに「円方体」について質問しました。そうしたら、回答者から上の箱木一郎氏の曲面体印刷関係の文章を教えられ、その中に、「円方体」という言葉がありました。
 
 上の「円方体」という言葉を使った批評家の吉本隆明氏は、もう亡くなられていますが、若い頃化学の技術者で何年か東洋インキと言う会社の開発部門に居られました。それ以前にはラブミー化粧品にもしばらく居られたそうです。印刷に関わる容器や化粧品の容器関係から来ているのかなと思って伺っているしだいです。

 古墳の前(方)後(円)墳の名付け方のように、例えばガラスビンの上部が円(筒)で下部が直方体から、「円方体」のガラスビンなどと名付けられたのではないかと推測しています。

 箱木一郎氏のご家族関係者の方で、この「円方体」という言葉について耳にしたとかこういうものを言うとか、何かご存じであれば教えていただけると幸いです。よろしくお願いします。
     2021年11月6日
                   nishiyan
by nishiyan (2021-11-06 02:12) 

アヨアン・イゴカー

nishiyan様
お問い合わせ有難うございます。円方体という言葉については、祖父から説明を受けたこともなく、断定することはできません。
が、『発明と私』の中で使用されている意味は円柱、円筒のことだと理解しております。祖父は、局面印刷という分野に拘っており、二次元ではなく、三次元の物への印刷を局面印刷と定義しております。
同文書には「円方体、或いは円錐体、これは解体してしまえば結局、平面になる。ということは二次形面であって、曲面印刷と同類にしては困るということをよく議論してきました。円錐体にしても円筒にしても切って開けば平になり・・・」と書かれていますので、円方体は円筒、円柱の意味であることが分かります。
日本国語大辞典にも円方体という言葉は載っていません。円い直方体と言う意味で、特に立方体(キューブ)に対する図形を表すものとして明治時代、大正時代、昭和初期には使っていた言葉なのかもしれませんが、手元には確認する資料がない状況です。

上記の吉本隆明の説明から解釈すると、直径と高さの等しい円柱のことではないかと推測されます。倍増した円方体(2X2X2):高さと直径の長さが同じ円柱の場合、倍の大きさになれば容積は8倍になります。
「意味句が、下句または上句の全体でメロディを発信している・・・」とは、「交響(syn共に・同時に+phone音声)する密雲」の譬えから、上の句、下の句全体が共に響き合うためにそのボリューム(容積)が八倍くらいに膨らむ、というような意味でしょうか?

以上 ご確認ください。
by アヨアン・イゴカー (2021-11-22 00:59) 

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