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陶磁器界へ貢献 新聞記事文庫 陶磁器製造業(2-058) 東京日日新聞1935年2月5日(昭和10) [箱木一郎 曲面印刷 ichiro hakogi]

 家系図と言う名で、新しいブログを書き始めることにした。本来はホームページに公開する予定だったのだが、パソコンが古くなり、ホームページを作成した無料ソフトも使用期限が切れてしまい、今更ホームページを作るのも面倒になった、と言うのが実情である。祖父達のことはそれほど書くつもりもなかったのであるが、自分の年齢が高ずるにつれて、気力のあるうちに身内にだけでも、自分達の先祖について知っていること、分かっていることを纏めて記録に残しておこうと考えた次第。 そして、今日2009年2月19日の木曜日に、父が封書を持ってきてくれた。それは祖父箱木一郎の発明に関する新聞記事をホームページから印刷したもの、中国語の記事、その和訳の三点であった。早速、ここに公開することにする。

陶磁器界へ貢献
文様も自在に描く印刷機を完成全然、畑違いの人の手に・・・また発明日本の誇り

陶磁器界へ貢献
こんど、世界最初の「陶磁器曲面印刷機」という珍しい機会が発明せられ、その発明者に対し商工省では有用工業奨励金九千円を下付することに決定した。この陶磁器曲面印刷機というのは、皿、茶碗、コーヒー・セット等の文様、図案等を特殊の印刷機によって機械的に六色までのオフセットずりをするもので、現在コーヒー・カップ、洋皿等の文様は全部子供の玩具にある「うつし絵」式に、一旦紙に印刷してあるものを一枚一枚女工さんの手で素焼きの陶磁器に転写し、文様だけを貼り付け紙を剥ぎ取って釜に入れていたため、如何にしても継目を生じ、また絵が折れ返ったりして生産能率上の障害になっていた。ところが「曲面印刷機」は十二馬力のモーターで自働的に二、三人の職工で一時間に一千枚の曲面印刷をなす能力を有し、その原理は原画を一旦薄いゴム版に刷り取り、これを茶碗や皿の曲面にあてがい、その中間の空気をポンプで吸い取って真空貼り付けを用いあざやかに原画を曲面に転写する精巧なものである。これを発明した箱木一郎君(三五)は十年前関西学院の社会学科を卒業、全く方面違いの印刷に興味をもち、約五年前から東京高等工芸教授伊東亮次氏のもとに出入りするうち、陶磁器の文様に印刷機なく、旧態のままの原始的技工方法をとっているのに目をつけ、名古屋市東区芳野町の陶磁器輸出組合の一室に研究所を設け、名古屋高工の松良教授の協力を得て漸く完成したものである。昨年は発明協会から恩賜賞一千円の下付の光栄に浴し、今回また商工省かから奨励金の交付をみたもので、将来はこの機械をなお一層小型な手軽なものに改装すると同時に瓶、ガラス壜、ガラス製コップ等にまでも華麗な美術印刷をすると意気込んでいるが、何しろ陶磁器はわが海外輸出品中、名古屋を中心として生産されているものだけでも、年額三千五百六十三万四千円(昭和八年度)の巨額に達し、輸出品中の主要なるものであるから、簡便な曲面印刷機の発明は斯界発展へなお一層の拍車を加えるであろうと期待せられる。
専門家には却って感付けぬ 特許局化学課長 堀川氏談
箱木君の発明は世界に誇るに足るものでしょう。同君が専門家でなかったために思いつきが突飛で、却って専門家には感付けなかったことです。商工省では同君に一層の努力をお願いしてこれを簡易化し機械そのものを工業化していただくための奨励金の下付をみたわけです。(データ作成:2004.2 神戸大学附属図書館)

神戸大学電子図書館のデータを見つけたので、urlを紹介しておく。2010年7月18日日曜日
記事の題名は「関学出身の青年科学者誇らかに完成」である。
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00078237&TYPE=HTML_FILE&POS=1

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次回は、「傅抱石による日本工芸美術の視察」(原文中国語)を父の知り合いが訳して下さったものを紹介する予定である。
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ナカムラ

ぜひ、ゆっくりでもご紹介ください。
by ナカムラ (2009-07-23 18:57) 

アヨアン・イゴカー

ナカムラ様
niceとコメント有難うございました。
暫く、このブログはどなたも来られないようでしたので、放置しておりました。
祖父のことを少しずつ紹介して参りますので、宜しくお願いします。
by アヨアン・イゴカー (2009-07-31 14:53) 

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